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トピア内野手の463トピア

トピア内野手のブログ。華麗にゲッツーを捌き、打席では進塁打を打てる選手目指します。

レイテをまとう狂気を見た(意訳:書かなきゃ抜け出せない)

今日はスーパー真面目な話です。書き留めておきたくて書いてます。書かなきゃ抜け出せない気がするくらいショックを受けています。書いても抜け出せないかもしれません。というか抜け出せなくてもいいです。
野球の話と勤(伊東勤さん)の話ばかりする当ブログですが、塚本晋也監督の「野火」を観て色々思うところありましたのでその話をさせていただきます。
「野火」は大岡昇平さん原作の戦争文学です。それを塚本晋也さんが脚本、主演、監督、撮影された映画です。
塚本晋也監督の作品(とくに六月の蛇KOTOKO悪夢探偵2等)が大好きでtwitterはずっとフォローしており、その中で野火の話題がぽつぽつと出てきており、いつ公開されるのだろう、いつ公開なんだろうとずっと待っていました。
塚本監督は慈悲深く、人間の内面を描ける鬼才だと思います。
初めて監督の作品を観たのが六月の蛇でしたが、その時に感じたときめきをいまだに忘れていません。女性に優しく、セクシーなフェミニストだと思いました。
KOTOKOを観てなんて優しくて愛がある人なんだろう!と感動したことも昨日のことのように覚えております。
なので当然のように7/25の公開初日、渋谷のユーロスペースに行きました。その感想について書きます。
私は選挙に行くぐらいで、政治的なことには非常に不勉強です。
あくまで感覚的なお話しになってしまいます。
「戦争をやりたい政治家なんていっぱいいる。お金になるから」と言っていた高校時代の社会科教師の言葉を思い出します。
ネタバレは極力控えておりますが、劇中に出てくる場面について記載がありますので、予告編以外何の情報も入れたくないんだ!という方はせっかく見ていただいたのに申し訳ありませんが、このページをそっと閉じていただけると幸いです。
予告編についてはこちらです。

映画『野火』 Fires on the Plain 予告編: http://youtu.be/lROv41QOFdI

 



 

 

 

 

 

 

 

 





 

 

 

 

 

 
「野火」のポスターのキャッチコピーに「なぜ大地を血で汚すのか」とあります。
野火を観てもその答えがわからなかったんです。でも「わからないままでいたいし、わかることがあってはいけない」と思いました。
野火は第二次世界大戦末期、フィリピンのレイテ島で結核を患った田村一等兵塚本晋也さん)の視点で描かれています。
野戦病院にも入れない、かといって軍隊にも戻れず、芋に熱を通す方法にも苦慮し、生のまま食べ、遭遇した同じ立場であるはずの兵士も信頼できず、島をさまよっていました。
人間が肉塊になってしまう場面はもちろん描かれますが、戦争の渦中、飢餓や人を殺すことへの葛藤で理性も危うい極限状態になる兵隊の姿というところが一番の肝だと思います。
説教臭いことは一切言っていません。登場人物だれも「お国のため」というイズムはありませんし、戦争がダメだなんて言葉もありません。現場の兵士はそういうことが言える状態ではない。それが戦争なんだろうなと突きつけられました。

「理性も心身も消え去りそう、消えれしまった状態の」「なんとか生命がある」極限状態の兵士の姿を見て何を感じるかという感覚に訴えかけてくる映画です。

戦争とはこういうものだと体感させられます。戦争ってこういうものなのか。こんなことはあってはならない。と強く刻み付けられます。

映画を見ているはずの自分がその場にいるかのような臨場感、爆発音、時折挟まれるフィリピンの美しい風景。

個人的には美しいフィリピンの後継の中で、血だらけの兵士の死体の周りを「食べていいのよ~」と妖精のようなものが飛び回り、田村が食べたくない!と拒みながらも食べようとしてしまう、幻覚?妄想?のようなシーンが最も印象的でした。

オーディションで抜擢された永松役の森優作さんが素晴らしいです。リリーフランキー演じる安田を殺し、そのまま食べようと口の中を血だらけにして田村に言ったセリフはもっともすごみのあるセリフでした。

森優作さんは、俳優・塚本晋也さん、リリーフランキーさん、中村達也さんにも負けていませんでした。
平成生まれの森優作さんが戦争下の兵士の狂気を演じきったのが素晴らしいことだと思います。
とはいっても戦争を経験した方は誰も出ていないのですが、兵士を演じた中では最も戦争から年月的、心情的にも遠い存在であろう森優作さんが演じられたことに感動を覚えました。

最後のシーンがとても好きなのですが、あえて説明しません。言葉で語るものではないと思うので。

塚本監督作品ではおなじみの石川忠さんの音楽がグワアッと聴覚だけでなく、脳にも入り込んできます。

うまいこと言えませんが、「言葉で語られるのではなくて、体感させられる映画」です。
だから響くし、ショックが大きいのです。きれいごとなんてありません。

素晴らしい作品だからおすすめしたいんだ!という気持ちよりも素晴らしさについて記録と記憶に残したいと思い、長々とブログを書きました。

映画を見た後、塚本監督のインタビューを観てみると、本当にたくさんの方がボランティアとしてかかわり、手作りだったものもかなり多かったようです。
お金がないことを言い訳にせず、こんな大作を作り上げられたことが本当にすごいと思います。

野火の制作、宣伝、配給に関わられた塚本監督、演者さん、スタッフ様、ボランティアの皆様本当にお疲れ様でした。
今このご時世に観られてよかったです。ありがとうございました。
元々大好きだった塚本晋也監督への信頼と愛がさらにさらに強まりました。
気持ち悪いことを書いてすみません。大好きなんです。

ここまで読んでいただいた方々、お付き合いいただきありがとうございました。
私の下手な文章では伝えきれずもどかしいですし、無理強いしませんが、とても素晴らしい映画です。ということだけ何度でも書かせていただきます。